改正男女雇用機会均等法、セクハラ、短時間勤務正社員制度、雇用のCSR、派遣労働者の労災事故増加

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   19年6月号

 ☆改正男女雇用機会均等法が施行されました

 ◆企業に対する規制強化
   平成19年4月1日から、改正男女雇用機会均等法が施行されました。改正議論では、結果的に性で
  差がつくような「間接差別」の禁止が注目されましたが、他にも、妊娠・出産をめぐる規制が強化され、
  女性だけではなく男性へのセクハラに対しても企業が対策をとらなければならなくなりました。

 ◆妊娠中の解雇は原則無効
   法改正前も、妊娠・出産を理由とする解雇は禁止されていましたが、非正社員の場合は契約期間
  終了による「雇止め」だとされ、救済対象から漏れてしまうこともありました。改正法では、雇止めや
  更新拒否、退職推奨やパートへの変更などすべての不利益取扱いが禁止されました。
  さらに、妊娠中や産後1年以内の解雇は原則無効になりました。

 ◆男性へのセクハラもダメ!
   男性に対するセクハラの禁止も改正法で定められました。女性も加害者になる可能性があることを
  自覚する必要があります。
  改正法ではこのほか、企業のセクハラ防止の「配慮義務」が「措置をとる義務」に強化されました。
  相談窓口の設置に加え、周知・啓発、懲戒規定などが義務付けられました。是正勧告に応じない
  企業名は公表されます。

 ◆「間接差別」が禁じる3項目
  1.募集・採用における身長・体重・体力要件
  2.コース別雇用管理における転居を伴う転勤要件
  3.昇進における転勤経験要件
  しかし、厚生労働省は、3項目以外でも「裁判で違法とされる場合はある」としています。

 ◆企業に対する罰則を新設
   違法行為があった場合の相談先は、都道府県労働局の雇用均等室です。調停による解決をめざす
  機関で、専門家による委員会が調停案を出します。改正法では、調停を行う機関から求められた報告
  に応じないか、または、虚偽報告をした企業には「20万円以下の過料」を科すようになりました。
   日本弁護士連合会などは、調査権や救済命令を出す権限も与えるべきと主張しています。調停の
  打ち切り後は、裁判で争うか、原則3回までの審理で解決する「労働審判」も選択肢になります。

 ☆普及・定着するか?短時間勤務正社員制度

 ◆「短時間勤務正社員制度」の目的
   短時間勤務正社員制度は、フルタイム勤務一辺倒の働き方ではなく、自己のライフスタイルに応じて
  多様な働き方を実現させるとともに、これまで育児や介護をはじめとして様々な制約によって就業を
  継続できなかった人や就業の機会を得られなかった人たちの就業の継続を可能にする為の制度です。
   労働者が育児や介護・自己啓発などの必要性に応じて、正社員のまま仕事を継続することができる
  ため、「多様就業型ワークシェアリング」の代表的制度として、今後定着が期待されています。

 ◆2つのタイプがある「短時間勤務正社員」
   短時間勤務正社員とは、フルタイム正社員より1週間の所定労働時間が短い社員のことをいいます。
  タイプは2種類あり、フルタイム正社員が短時間・短日勤務を一定期間行う場合と、正社員の所定労働
  時間を恒常的に短くする場合に分かれます。
   前者のメリットとしては、従業員が育児や介護、社会活動など必要性に応じて時間をとることができ、
  有能な人材の確保が容易であること、後者のメリットとしては、仕事と家庭のバランスを図りやすく、
  健康面や体力面での配慮が可能になることとされています。
  どちらにしても、企業が人事・労務管理を見直す機会となり、企業運営の効率性を高めるきっかけにも
  なります。

 ◆制度導入にあたっての注意点
   制度を導入する際には、導入のメリットを確認した後、実際に現場の管理職や従業員の声を拾い
  上げるための調査を実施する必要があります。その留意点としては、以下のことが考えられます。
  1.「企業のコスト削減等のための労働時間短縮制度」との誤解を招かないよう、労働者側のメリットも
    周知すること
  2.各識層のニーズを偏りなく把握すること
  3.意見を述べた個人の特定ができないように、調査票は無記名にするなどの配慮が必要ではあるが、
    所属部署・業務内容等は回答してもらうこと

 ◆可能な部署からの導入も
   制度を全社的に導入できることが望ましいでしょうが、可能な部署から実施し、徐々に拡大していく
  方法もあります。いずれにしても、制度の円滑な導入を進めるためには、労使それぞれの立場からの
  意見が反映できるように、社内での十分な検討が必要になります。

 ☆労働・雇用に関する企業の社会的責任(CSR)

 ◆企業に求められる「社会的責任」の内容
   企業には、その利害関係者(ステークホルダー)に対して責任ある行動をとるとともに、説明責任を
  果たしていくことが求められており、その傾向は年々高まっているといえます。このような考え方は、
  「社会的責任」(CSR)と呼ばれますが、労働・雇用の観点からもCSRを検討する必要性が高まって
  います。その主な理由は次の通りです。
  1.従業員の働き方に十分な考慮を払い、個性や能力を活かせるようにしていくことは、企業にとって
    本来的な責務であるといえる
  2.従業員に責任ある行動を積極的にとっている企業が、市場において投資家、消費者や求職者等
    から高い評価を受けるようにしていくことは有益である

 ◆企業はどういった取り組みをすべきか?
   企業が従業員に対して取り組む事項としては、次のことが挙げられます。
  1.従業員がその能力を十分に発揮できるよう、人材の育成、従業員個人の生き方・働き方に応じた
    働く環境の整備、安心して働く環境の整備などを行う
  2.事業の海外展開が進む中、海外進出先の現地従業員に対し、責任ある行動をとる
  3.人権への様々な配慮を行う

 ◆労働・雇用のCSR推進のための環境整備
   労働・雇用の分野において企業がCSRを進めるための具体的な国の施策としては、どこまで自社の
  取り組みが進んでいるか企業が自主点検できる材料を開発すること、表彰基準や好事例の情報の
  提供を行うことなどが想定されています。
   CSRはあくまで企業の自発性に基づいて進められるものですが、それぞれの企業が、社会的公器と
  しての認識を深め、多種多様な取り組みを積み重ねていくことで、「人」の観点からも持続可能な社会
  が形成されていくことが期待されます。

 ☆派遣労働者の労災事故が増加している!

 ◆労災事故の内容
   派遣労働者の労働災害事故が急増していることが、東京都内の派遣業者を対象とした東京労働局
  による調査で明らかになりました。前年に比べ5割近くも増加しています。
   2006年の同局管轄の死亡災害は99人(前年比15人増)で、怪我は10,078人(同169人増)でした。
  このうち、派遣労働者の死亡災害は2人(前年ゼロ)、怪我は401人(同268人)で49.6%増となりました。
  死亡した2件の労災は、造園事業に派遣され、マンションの樹木の剪定作業中にはしごからコンクリート
  の路上に落下したケースと、事務職の派遣で、外階段を移動中に突風を受けて転落したケースでした。
  怪我では、機械に挟まれたり、転落したりしたケースなどが多く、また腰痛やプレス作業中に左手を
  はさまれるといった、経験と安全教育不足からくる事故が目立っているようです。

 ◆今後の対応策
   東京労働局では、今後、派遣社員に対する安全教育を図るよう企業に呼びかける予定だそうです。
  派遣労働者の労働組合「派遣ユニオン」は、「派遣業者が安全衛生教育を何とかしない限り被災は増え
  続けるであろう」と見ています。
   景気の回復や労働者の高齢化により、企業の労働環境が改善されつつあるといわれる昨今ではあり
  ますが、派遣労働者は、ノウハウや経験不足から労働集約的な仕事しか任されないことが多く、また、
  正社員と比べても企業が教育に費やす費用は明らかに少ないとみられています。
  正社員雇用が増加している現在の日本の雇用情勢。今後、派遣労働者はどういった位置付けになって
  いくのかまだまだ未知だといえるでしょう。

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