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| 管理監督者の注意点、判断基準 |
労働基準法第41条第2号では、監督若しくは管理の地位にあるものという規定を設け、事業
運営を左右するような立場にあるために労働時間、休憩及び休日の規制の枠を超えて活動
することがなじむ労働者に対して適用除外を認めています。
このような労働者を「管理監督者」と呼んでいますが、企業によりこの規定を拡大解釈し
不適正な取扱いが少なからず認められます。(某大手ハンバーガーチェーンなど)
◆管理監督者の判断基準
1.実態上の職務内容、責任と権限はふさわしいかどうか
2.勤務態様の実態にふさわしいかどうか
3.定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされて
いるかどうか
ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者
に比べて優遇措置が講じられているかどうか
4.スタッフ職、専門職の場合、経営上の重要事項に関する企画立案等の部門に配置され、
ラインの管理監督者と同格以上に位置づけられる等、相当程度の処遇を受けているか
どうか
労働基準法41条対象者については、労働基準法の次の規定が適用されません。
1.労働基準法32条 法定労働時間
2.労働基準法33条 非常災害時に時間外・休日労働
3.労働基準法34条 休憩
4.労働基準法35条 休日
5.労働基準法36条 時間外・休日労働
6.労働基準法37条中の時間外・休日労働の割増賃金に関する部分
7.労働基準法60条 年少者の労働時間・休日
8.労働基準法66条 妊産婦の労働時間・休日
ただし、深夜業、有給休暇の規定は適用されませんので注意が必要です。
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| 管理監督者に関する判例 |
◆管理監督者とは認められず
事件名〔裁判所・判決年月日〕・・・橘屋割増賃金請求事件〔大阪地判昭40.5.22〕
争点・・・時間外労働に対する割増賃金支払義務違反の存否
地位・・・取締役工場長 本社工場
理由・・・取締役に選任されてはいたが名ばかりのもので、役員会に招かれず、役員報酬なる
ものも受けていなかった。また出退社についても一般労働者と同じ制限を受けており、
更に工場長といいながら何ら実質の伴わない形式上の名称に過ぎず、工場の監督
管理権はなかったこと等監督若しくは管理の地位にある者に該当しないものが相当
である。
事件名〔裁判所・判決年月日〕・・・静岡銀行割増賃金等請求事件〔静岡地判昭53.3.28〕
争点・・・時間外労働に対する割増賃金支払義務の存否
地位・・・支店長代理相当職
理由・・・欠勤・遅刻・早退についての制限を受け、通常の就業時間に拘束されて出退勤の
自由がなく、自らの勤務時間について自由裁量権を全く有していなかった。また、人事
に関する事項及び機密事項に関与したことがなく、経営者と一体になって銀行経営を
左右するような仕事には全く携わっていなかったことから、管理監督者に当たらない
ことは明らかである。仮に支店長代理以上の者が全て管理監督者に当たるとすれば、
被告銀行の一般男子行員の約40%の者が労基法の労働時間、休憩、休日に関する
規定の保護を受けなくなってしまうという全く非常識な結論となるため事業場としては
時間外手当等の支払い義務が発生する。
事件名〔裁判所・判決年月日〕・・・サンド事件〔大阪地判昭58.7.12〕
争点・・・時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金支払義務の拒否
地位・・・課長 生産工場
理由・・・工場内の人事等に関与することはあっても独自の決定権はなく、勤務時間の拘束を
受けていて、自己の勤務時間についての自由裁量の余地をほとんど有さず、課長
昇進前とほとんど変わらないその職務内容・給料・勤務時間の取扱いに照らし、会社
の利益を代表して工場の事務を処理するような職務内容・裁量権限・待遇を与えら
れていなかったから、管理監督者には該当しないというのが相当である。
事件名〔裁判所・判決年月日〕・・・彌栄自動車事件〔京都地判平4・2・4〕
争点・・・時間外労働に対する割増賃金支払義務の存否
地位・・・係長補佐・係長〔タクシー営業所〕
理由・・・係長級職員は1人当たり約40人の運転手の出勤管理・配車管理等を行い、苦情・
事務処理を行うが、自らの業務内容、出退社時刻・不就労等につき裁量権を有さず、
会社の営業方針全般を決定する営業会議への出席を求められず、待遇も職務内容
に見合っていないことから管理監督者に該当しない。
事件名〔裁判所・判決年月日〕・・・ほるぷ事件〔東京地判平9・8・1〕
争点・・・販売主任の時間外労働に対する割増賃金支払義務の存否
地任・・・販売主任〔支店〕
理由・・・営業所長を経て支店の販売主任となったが、タイムカードにより厳格な勤怠管理を
受けており、支店長会議に出席することもあるが支店営業方針の決定権限はなく、
支店販売課長に対する指揮命令権限も明らかでなかった。従って、会社の経営方針
の決定に参画する立場になかったことは勿論、労務管理上の指揮権限を有する等
経営者と体的な立場にあったものとは認められない。
事件名〔裁判所・判決年月日〕・・・東建ジオテック事件〔東京地判平14・3・28〕
争点・・・時間外労働に対する割増賃金支払義務の存否
地位・・・技術系の職制〔係長等〕
理由・・・技術部門に所属し、現場に赴いて他の従業員を現場で指揮監督し、厳格な勤務
管理は存在しないものの社内文書により遅刻、早退は慎むべきとの示達があり、支店
長が視認する方法による勤怠管理の下に置かれていたと認められるため管理監督者
とは認めることはできない。
事件名〔裁判所・判決年月日〕・・・レストランビュッフェ事件〔大阪地判昭61・7・30〕
◆管理監督者と認められる
事件名〔裁判所・判決年月日〕・・・医療法人徳州会事件〔大阪地判昭62.3.31〕
争点・・・時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金支払義務の存否
地位・・・人事第2課長〔本部〕
理由・・・法人全体の看護士募集業務の全権を任され、同業務計画の立案実施権限、これに
伴う人事関係職員〔本部・各病院〕の指揮命令権限、看護士の採用・配置に関する
決定権限等を有していた。また、実際の労働時間は原告の自由裁量に任されており、
時間外手当が支給されない代わりに、責任手当、特別調整手当が支給されていること
等から、監督若しくは管理の地位にある者に当たると認めるのが相当である。
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