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| 賃金不払残業(サービス残業)の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針 |
サービス残業は大きな社会問題です。過重労働が原因となった大型観光バスの事故記憶に
新しいところです。
サービス残業を摘発されると、多額の不払賃金支払いが発生、財務状態が悪化します。
また有名企業の場合、マスコミに報道されるとイメージダウンにより企業存亡の危機につながり
かねません。 過重労働は労災事故、過労死やうつ病の原因ともなります。
趣旨
賃金不払残業(いわゆるサービス残業)は、労働基準法違反です。
賃金不払残業を解消するには、事業場において労働時間が適正に把握される必要があります。 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき基準」は、使用者に労働時間を管理する
責務があることと労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置等を明示しています。
賃金不払残業(サービス残業)を解消するには、労働時間の適正な把握に努めるに止まらず、
職場風土の改革、適正な労働時間の管理を行うためのシステムの整備、責任体制の明確化と
チェック体制の整備等を通じて、労働時間の管理の適正化を図る必要があります。
労働時間適正把握基準において示された労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき
措置等に加え、労使が各事業場における労働時間の管理の適正化と賃金不払残業の解消の
ために講ずべき事項を示し、企業の本社と労働組合等が一体となっての企業全体としての主体
的取組に資することとするものである。
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| 労使に求められる役割 |
労使の主体的取組
労使は、事業場内において賃金不払残業の実態を最もよく知るべき立場にあり、各々が果たす
べき役割を十分に認識するとともに、労働時間の管理の適正化と賃金不払残業の解消のために
主体的に取り組むことが求められるものです。
グループ企業などにおいても、このような取組を行うことにより、賃金不払残業の解消の効果が
期待できます。
使用者に求められる役割
労働基準法は、労働時間、休日、深夜業等について使用者の遵守すべき基準を規定しており、
これを遵守するためには、使用者は、労働時間を適正に把握する必要があることなどから、労働
時間を適正に管理する責務を有しています。したがって、使用者は、賃金不払残業を起こすこと
のないよう適正に労働時間を管理しなければいけません。
労働組合に求められる役割
労働組合は、時間外・休日労働協定(36協定)の締結当事者でもあります。
したがって、賃金不払残業が行われることのないよう、本社レベル、事業場レベルを問わず企業
全体としてチェック機能を発揮して主体的に賃金不払残業を解消するために努力するとともに
、使用者が講ずる措置に積極的に協力することが求められます。
労使の協力
賃金不払残業の解消を図るための検討については、労使双方がよく話し合い、十分な理解と
協力の下に、行われることが重要です。
こうした観点から、労使委員会(企業内労使協議組織)を設置して、賃金不払残業の実態の把握
、具体策の検討及び実施、具体策の改善へのフィードバックを行うなど、労使が協力して取り組
む体制を整備することが望まれます。
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| 労使が取り組むべき事項 |
労働時間適正把握基準の遵守
労働時間適正把握基準は、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき具体的措置等
を明らかにしたものであり、使用者は賃金不払残業を起こすことのないようにするために、労働
時間適正把握基準を遵守する必要があります。
また、労働組合にあっても、使用者が適正に労働時間を把握するために労働者に対して労働
時間適正把握基準の周知を行うことが重要です。
職場風土の改革
賃金不払残業の責任は使用者にありますが、賃金不払残業の背景には、職場の中に賃金不払
残業が存在することはやむを得ないとの労使双方の意識(職場風土)が反映されている場合が
多いという点に問題があると考えられます。
こうした土壌をなくしていくため、労使は、次のような取組を行うことが望ましいといえます。
1.経営トップ自らによる決意表明や社内巡視等による実態の把握
2.労使合意による賃金不払残業撲滅の宣言
3.企業内又は労働組合内での教育
適正に労働時間の管理を行うためのシステムの整備
1.適正に労働時間の管理を行うためのシステムの確立
賃金不払残業が行われることのない職場を創るためには、職場において適正に労働時間を
管理するシステムを確立し、定着させる必要があります。
例えば、出退勤時刻・入退室時刻の記録、事業場内のコンピュータシステムヘの入力記録等
あるいは賃金不払残業の有無も含めた労働者の勤務状況に係る社内アンケートの実施等に
より賃金不払残業の実態を把握した上で、関係者が行うべき事項や手順等を具体的に示した
マニュアルの作成等により、「労働時間適正把握基準」に従って労働時間を適正に把握する
システムを確立することが重要です。
その際に、特に、始業及び終業時刻の確認及び記録は使用者自らの現認又はタイムカード、
ICカード等の客観的な記録によることが原則であって、自己申告制によるのはやむを得ない
場合に限られるものであることに留意する必要があります。
2.労働時間の管理のための制度等の見直しの検討
必要に応じ、現行の労働時間の管理のための制度やその運用、さらには仕事の進め方も
含めて見直すことについても検討することが望まれます。特に、賃金不払残業の存在を前提と
する業務遂行が行われているような場合には、賃金不払残業の温床となっている業務体制や
業務指示の在り方にまで踏み込んだ見直しを行うことも重要です。
その際には、例えば、労使委員会において、労働者及び管理者からヒアリングを行うなどにより
業務指示と所定外労働のための予算額との関係を含めた勤務実態や問題点を具体的に把握
することが有効と考えられます。
3.賃金不払残業の是正という観点を考慮した人事考課の実施
賃金不払残業の是正という観点を考慮した人事考課の実施(賃金不払残業を行った労働者も、
これを許した現場責任者も評価しない)等により、適正な労働時間の管理を意識した人事労務
管理を行うとともに、こうした人事労務管理を現場レベルでも徹底することも重要です。
4.労働時間を適正に把握するための責任体制の明確化とチェック体制の整備
(1)労働時間を適正に把握し、賃金不払残業の解消を図るためには、各事業場ごとに労働時間
の管理の責任者を明確にしておくことが必要です。
特に、賃金不払残業が現に行われ、又は過去に行われていた事業場については、例えば、
同じ指揮命令系統にない複数の者を労働時間の管理の責任者とすることにより牽制体制を
確立して労働時間のダブルチェックを行うなど厳正に労働時間を把握できるような体制を確立
することが望ましい。
また、企業全体として、適正な労働時間の管理を遵守徹底させる責任者を選任することも
重要です。
(2)労働時間の管理とは別に、相談窓口を設置する等により賃金不払残業の実態を積極的に
把握する体制を確立することが重要です。その際には、上司や人事労務管理担当者以外の者
を相談窓口とする、あるいは企業トップが直接情報を把握できるような投書箱(目安箱)や専用
電子メールアドレスを設けることなどが考えられます。
(3)労働組合においても、相談窓口の設置等を行うとともに、賃金不払残業の実態を把握した
場合には、労働組合としての必要な対応を行うことが望まれます。
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