最低賃金制度とは、最低賃金法に基づいて、国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その
最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされている制度です。
仮に、最低賃金より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律に
よって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとされます。
したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払
わなくてはなりません。
1.最低賃金の種類
最低賃金には、以下のとおり地域別最低賃金と産業別最低賃金及び労働協約の拡張適用に
よる地域的最低賃金の3種類があります。
(1)地域別最低賃金
地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、すべての労働者とその使用者に対して
適用される最低賃金として、各都道府県ごとに全部で47の最低賃金が定められています。
(2)産業別最低賃金
産業別最低賃金は、特定の産業について、関係労使が基幹的労働者を対象として、地域別
最低賃金より金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めるものについて設定されて
おり、各都道府県ごとに全部で249の最低賃金が定められています。
(3)労働協約の拡張適用による地域的最低賃金
一定の地域の同種の労働者及び使用者の大部分に賃金の最低額を定めた労働協約が
適用されている場合、労使のどちらか一方の申請に基づき、その賃金の最低額がその地域の
全ての労働者に拡張して適用される制度です。現在2つの最低賃金が定められています。
3.最低賃金の対象となる賃金
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金に限られます。
具体的には、基本給と諸手当(ただし、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などを除きます。
営業手当などは含まれます。)が対象となります。逆に、以下の賃金は最低賃金の対象から
除外されます。
◆最低賃金の対象から除外される賃金
(1)臨時に支払われる賃金・・・結婚手当など
(2)1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金・・・賞与など
(3)所定労働時間を超える期間の労働に対して支払われる賃金・・・時間外割増賃金など
(4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金・・・休日割増賃金など
(5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働
時間の賃金の計算額を超える部分・・・深夜割増賃金など
(6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
4.最低賃金額以上となっているか確認する方法
実際の賃金が最低賃金以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金
額と適用される最低賃金額を次の方法で比較します。
(1)時間給の場合・・・時間給≧最低賃金額(時間額)
(2)日給の場合・・・日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金(時間額)
ただし、日額が定められている産業別最低賃金が適用される場合、
日給≧最低賃金額(日額)
(3)(1)、(2)以外(週給、月給等)の場合
賃金額を時間当たりの金額に換算し、最低賃金(時間額)と比較します。
ただし、日額が定められている産業別最低賃金が適用される場合、賃金額と最低賃金額
の日額のそれぞれを時間当たりの金額に換算して比較します。
【計算例】 年間所定労働日数255日、月額112,000円、所定労働時間は毎日8時間
地域別最低賃金が時間額665円とすると、賃金は最低賃金を満たしているか?
(考え方) 月給制の場合は、次のような計算式を用いて比較する。
月給額×12か月÷年間総所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
(回答) (月給112,000円×12か月)÷(年間所定労働日数255×8時間)=658円82銭
658円82銭<時間額665円
したがって、この場合は最低賃金を満たしていないことになります。
5.最低賃金が適用される労働者の範囲
産業別最低賃金は、都道府県内の一部の産業の一部の使用者及び労働者に適用されます
(18歳未満又は65歳以上の方、雇入れ後一定期間未満で技能習得中の方、その他当該産業に
特有の軽易な業務に従事する方などには適用されません。地域別最低賃金が適用されます。)。
それに対して地域別最低賃金は、都道府県内の全ての使用者及び労働者に適用されます
(パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託などの雇用形態の別なく適用されます)。産業別最低
賃金が決定されていない業種や職種は、地域別最低賃金の対象となります。
しかし、一般の労働者と労働能力などが異なるため、最低賃金を一律に適用するとかえって
雇用機会を狭める可能性がある下記の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可
を受けることを条件として個別に最低賃金の適用除外が認められています。
・精神または身体の障害により著しく労働能力の低い方
・試用期間中の方
・認定職業訓練(事業主等の行う職業訓練の申請を受けて、都道府県知事が認定を行った
訓練)を受けている方
・所定労働時間が特に短い方、軽易な業務に従事する方、断続的労働に従事する方
最低賃金の適用除外許可を受けようとする場合には、使用者は事業所の所在地を管轄する
労働基準監督署に最低賃金適用除外許可申請書を提出する必要があります。
6.最低賃金の罰則
最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなければ
いけません。最低賃金以下の賃金を支払った場合は1万円以下の罰金になることもあります
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